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【研修案内】LIME(低所得と経済的疎外)の影響を受けたクライエントへの心理支援

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 科研費の助成を受けて研究室で取り組んできたLIME(低所得と経済的疎外)の影響を受けた クライエントへの心理支援に関する一連の調査の成果をもとに,心理支援者向けの研修(オンデマンド研修)を作成しました。 以下,ご案内です。 無料ですし,オンデマンドなので,ぜひご覧ください。 (学生・院生のみなさんにもご紹介いただいて結構です) 以下,案内です。 ********** 北海道大学大学院教育学研究院福祉臨床心理学研究室では,社会的排除や不平等の中で育った子ども・若者への心理支援に関する実践,研究に取り組んでいます。その一環として,2023年度からは科研費の助成を受けて,LIEM(低所得と経済的疎外)の影響を受けた人々への心理支援の現状と課題を明らかにするとともに,そうした人々に対して有効な支援を提供するための心理支援者のコンピテンシーを育成するためのプログラム開発に取り組んできました。公認心理師,臨床心理士の皆様にご協力いただき,質問紙調査,及びインタビュー調査を重ね,その中で明らかになった現状と課題に加え,海外での実践等を参考にしながら,心理支援者を対象としたオンデマンド研修の教材を作成しましたので,そのご案内をさせていただきます。 【研修概要】 受講にかかる費用は無料です。 研修は研究の一環として提供させていただくもののため,研修受講前後にアンケートに回答いただきます。回答内容は研究成果の報告,あるいは研修内容の向上に使用させていただきます。 研修教材の提供はおおむね半年間を予定していますが,研究上の都合により,予告なく終了させていただきますことをご了承ください。 【研修受講の手順】 1.以下のURL,もしくはQRコードからアンケートフォームにご回答ください。登録いただいたメールアドレス宛に研修動画のご案内をお送りします。 →  https://questant.jp/q/B1NUXP9V 2.案内に従い,動画にアクセスしてご視聴ください。なお,研修内容には自己省察を行っていただくワークも含まれますので,必要に応じてワークに取り組める環境を確保してご視聴ください。 3.すべての動画を視聴していただいた後に,再度アンケートにご回答ください。 *より良い研修を開発するためにご理解,ご協力をお願いいたします。 【研修内容】 オンデマンド教材は8本の動画から構成さ...

【学会発表】日本子ども虐待防止学会 第30回学術集会かがわ大会

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 先日,香川で開催された日本子ども虐待防止学会 第30回学術集会かがわ大会にて以下の研究報告を行いました。 ・保護歴のある子どもの虐待死の未然防止に向けた方策に関する検討 - 検証報告書の分析を通して- 井出智博, 満下健太, 白井祐浩, 増沢高 ・自治体間移動を伴う児童虐待重大事例の特徴 -検証報告書の量的分析を通して 満下健太, 井出智博, 白井祐浩, 増沢高 ・新生児死亡事例の検証報告における課題と提言の検討 - テキストマイニングの分析を通して- 白井祐浩, 井出智博, 満下健太, 増沢高 これらの研究はこども家庭庁 こども家庭科学研究費補助金の助成を受けた「地方公共団体の児童虐待死事例の検証結果における再発防止策等の検討のための研究」というプロジェクトの一環として行われたものです。 死亡事例など重大な事案が発生した際,その自治体には検証を行うことが求められており,そうした検証は検証報告書として公開されています。しかし,それぞれの報告書で共通する課題や提言が示されていても,それらは関連付けられたり,広く教訓として制度政策に反映されてきませんでした。一連の研究では検証報告書をもとにした分析を行うことで,そこから得られる教訓を明らかにしていくことに取り組んでいます。

【書籍】『心理支援における社会正義アプローチ:不公正の維持装置とならないために』

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 編者として関わらせていただいた『 心理支援における社会正義アプローチ:不公正の維持装置とならないために 』という書籍が誠信書房から発売されました。 この本は社会正義の観点から心理支援を捉えようとする入門的な書籍で,既存の心理療法の理論からの展開やカギとなる概念についての説明,社会正義を実現するための心理支援者のコンピテンシーの育成などについて言及しています。

【書籍】『PCAGIP法の実践: 対人援助職を支える新しいパラダイム』

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創元社から出版された 『PCAGIP法の実践: 対人援助職を支える新しいパラダイム』 という本で,「 《福祉》児童養護施設におけるPCAGIP法」という章の執筆を担当しました。 「PCAGIP(ピカジップ)法とは、話題提供者がファシリテーターや参加者と共に新しい取り組みの方向や具体策のヒントを見出すグループ体験」です(書籍の紹介より)。主に事例検討の方法として発展してきました。 担当章では児童養護施設での事例検討の実践とその効果,意義について紹介しています。

【学会発表】LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援に関するコンピテンシー

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 週末に開催された日本心理臨床学会で『LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援に関するコンピテンシー」というテーマの研究報告を行いました。 この研究は以前,このブログでも紹介したLIEM(低所得と経済的排除)を背景に持つクライエントさんへの心理支援に関して,公認心理師や臨床心理士を対象とした調査を行い,その結果を報告するものでした。 貧困をテーマにした研究は心理関係の学会ではあまり見かけないものですが,在籍時間中は熱心にお話を聴いてくださる方が来てくださって,ありがたかったです。 結果の概要としては ・心理支援者の多くは程度の差はあってもLIEMを背景に持つクライエントへの心理支援を経験している。 ・にもかかわらず,LIEMの問題やそうした問題を背景に持つクライエントへの心理支援について十分に学んだ経験がある人は多くない。特に,大学・大学院などの養成課程で学んだ経験がある人はわずかであり,6人に1人が貧困ライン以下での生活を余儀なくされているという日本の現状にもかかわらず,LIEMへの心理支援は心理支援者養成において”一般的”な問題として位置づけられていない。(←このことは心理支援においてLIEMを背景に持つ人たちが排除されていることを象徴している) ・そうしたことから,調査に協力してくれた方たちの多くは学ぶ必要性を感じているが,LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援に関するコンピテンシー(専門性,能力)に目を向けると,必要性を感じていながらも実行できないと評価する傾向が強く,その傾向は環境や制度への働きかけのように,よりマクロレベルのコンピテンシーで強くなる傾向にあった。 という感じです。 こうしたことから, ・まずは心理支援者の養成課程においてLIEMの問題に触れ,LIEMを背景に持つ人々が心理支援のニーズを持つ人たちであることを認識してもらうこと ・さらに彼らへの支援を提供するためには彼らのニーズを理解し,時には現実的な支援を含めた支援を行うこと,あるいはそうした支援を行える他の専門職との連携が不可欠であることを認識してもらうこと ・そして,こうした社会的な問題に対する心理支援を展開していくためには同じような問題意識を持つ心理支援者が組織し,クライエントに必要な制度やシステムについての提言を行う仕組みを作っていくこと が必要だと考察しました。...

【学会発表】「ヤングケアラー調査を踏まえた公立通信制高等学校の現状と課題」

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 早稲田大学で開催された日本子ども家庭福祉学会第25回全国大会で「ヤングケアラー調査を踏まえた公立通信制高等学校の現状と課題」という研究報告を行いました。 この研究は日本医療大学の今西良輔先生との共同研究で,今回は今西先生が発表してくださいました。北海道の道立通信制高校での調査を通して見えてきた生徒の実態を「ヤングケアラー」という視点から見てみた研究です。 こども家庭福祉学会は初めての参加でした。 特徴的だったのは高校生・大学生の研究報告という枠があり,大会2日目には朝から夕方までその企画が動いていたことが印象的でした。時間の都合上,見に行くことはできませんでしたが,研究報告があったり,参加者同士で交流したりしていたようです。 あとは学会の報告に社会的養護経験者が登壇し,声を届けてくれていたことも印象的でした。 自分がかかわる他の学会の在り方としても参考にしたいなと思いました。

【論文】「スクールカウンセラーにおける倫理」

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 日本健康相談活動学会誌に「スクールカウンセラーにおける倫理」という論文が掲載されました。この論文は特別報告『教育現場における倫理的課題』という特集の1部として掲載されたものです。 スクールカウンセラーの職務の特徴や心理支援者の倫理を巡る変遷などを踏まえて,スクールカウンセラーにとっての倫理をどのように捉える必要があるかを論じました。特に,倫理を専門家としての最低限の基準(命令倫理)と捉えるだけではなく,専門家として目指すべき最高の 行動基準(理想追及倫理)と捉え,より良い心理支援を探求する必要性に言及しました。 この論文はJ-STAGEで公開されており,以下のリンクからお読みいただけます。 井出智博(2024) スクールカウンセラーにおける倫理, 日本健康相談活動学会誌 19 (1), 2-5.

【論文】「北海道における社会的養護経験者の アフターケアの在り方を考えるワークショップ 」に関する実践報告

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2年ほど前に道内の社会的養護経験者のリービングケア,アフターケアに関わる方たちのメーリングリストを作り,不定期に勉強会などを開催してきました。今年度からは2,3か月に1度のペースで定期的に勉強会を開催する予定です。 今回ご紹介する『北海道における社会的養護経験者の アフターケアの在り方を考えるワークショップ 』はそうした勉強会の一環として開催した「社会的養護経験者のアフターケアの在り方を考える@札幌」というワークショップの実践報告です。北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター子ども臨床研究部門の実践研究の一環でもあります。 このワークショップには札幌を中心に,道内でリービングケア,アフターケアに関わる方たちがご参加くださり,「北海道・札幌で社会的養護経験者が暮らしていくために何が必要か?」というテーマに基づいてグループワークを行いました。本報告にはその内容が紹介されています。 近いうちに大学のリポジトリにも公開されると思いますので,その際は本文リンクと合わせて再度ご報告いたします。 【追記】2024.7.2 北大学術成果コレクション(HUSCUP)にて本文が公開されました。 コチラ からアクセスしてください。

【報告書】「LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援の現状と課題について」報告書

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*LIEM:Low-Income and Economic Marginalization(低所得と経済的疎外) 今年度と来年度(2023~2024年度),科研費の助成を受けて「 貧困下にある子どもに有効な支援を提供する心理支援者育成プログラムの開発 」という研究課題に取り組んでいます。 この研究課題は東京都立大学の阿部彩先生が研究代表を務める学術変革領域研究(A)「 貧困学の確立:分断を超えて 」の 公募研究 (貧困の子どもへの影響を緩和する社会システムの実装に関する研究)として採択されたものです。 「2019年国民生活調査の概況」(政策統括官付参事官付世帯統計室,2020)によると2018年の日本の相対的貧困率は15.7%であり,国民の6人に1名程度(約2,000万人)が貧困ライン以下での生活を余儀なくされている状況にありながら,これまで日本の臨床心理学の領域では貧困の状況にある人々への心理支援のあり方についての議論はほとんどと言ってよいほど行われてきませんでした。 貧困は社会的排除に関する問題です。発達障害の可能性がある子どもの割合が6~7%とされており,この割合をそのまま日本の人口に換算すると800~900万人ほどになりますが,発達障害の人たちへの支援に関しては多くの研究や実践が重ねられてきたことを考えると,貧困は臨床心理学という学問においても排除され,「ない」ことにされてきたと言えるでしょう。 海外では例えばアメリカ心理学会が『 The APA Guidelines for Psychological Practice for People with Low-Income and Economic Marginalization 』というガイドラインを公表しているように,多文化・社会正義カウンセリングの文脈を中心に貧困を背景に持つクライエントへの心理支援についての議論が重ねられています。 日本でも貧困が人の育ちや暮らし,メンタルヘルス等に与える影響を理解し,必要な支援を提供するための議論が必要です。 そこで本研究ではまず今年度,公認心理師や臨床心理士がどれくらい,どこで貧困を背景に持つクライエントへの心理支援を経験しているのか,そしてその中でどのような困難を感じているのか,どのような能力(コンピテンシー)が必要だと考えているのかなど,貧困を背景に持つクライ...

【論文】公認心理師・臨床心理士養成課程における社会正義を実現するためのコンピテンシー養成を目指した授業実践

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「公認心理師・臨床心理士養成課程における社会正義を実現するためのコンピテンシー養成を目指した授業実践」という論文が北海道大学大学院教育学研究院臨床心理発達相談室紀要に掲載されました。 この論文は,社会的排除を経験しているクライエントへの心理支援に関する,心理支援者のコンピテンシーを養成することを目指した大学院における授業実践についてまとめたものです。 近いうちに北大学術成果コレクション( HUSCAP )上で本文をお読みいただけるようになる予定ですので,公開され次第,情報を掲載します。 【要旨】 従来、心理支援は個人の内面に焦点化する傾向が強く、社会的文脈を考慮し、さらにはそれ に対して働きかけていこうとする意識や取り組みが欠けていた。海外では社会的文脈を考慮し、 社会正義を実現するための心理支援者のコンピテンシーが重視されるようになっている中で日本でもそうした取り組みが求められるようになっている。こうした中で本稿では、心理支援者の養成課程において社会正義を実現するためのコンピテンシーに関わる教育・訓練がどのように行われ得るのかについての議論を整理するとともに、公認心理師・臨床心理士の養成課程における授業実践を基にしてその効果や課題を検討した。その結果、授業実践を通して、よりマクロな視点の取り組みの必要性は高まる一方で、そうした取り組みを実行することができるというコンピテンシーは十分に高まらないことが示唆され、検討の余地が残された。

【学生院生の取り組み】地方学の実践支援プログラム2023の成果報告会

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 北大では「自治体との共創」や「課題解決のための社会との連携強化」をかかげ,北大の総合力による新しい地域連携の形を推進することを目的に「 地方学(ぢかたがく)の実践支援プログラム 」という取り組みが行われています。 学生院生が地域社会や団体と連携しながら,現場地域(フィールド)において課題解決に主体的に取り組むことを支援するプログラムです。 今年度,福祉臨床心理学ゼミ修士課程1年の佐々木あまねさんが「道内地方小規模高校における生徒支援についての研究」というテーマでこのプログラムの助成を受けて,苫前町と連携共同し実践研究を進めてきました。佐々木さんは,入学者が減少し,存廃の危機にさらされている地方公立高校にあえて札幌都市圏から進学する生徒たちがいることに注目し,時には中学時代に不登校のような学校適応上の困難さを経験した生徒たちが,地方高校で過ごす中で自分らしさを見つけながら成長していく過程を生徒個人のレベルだけではなく,学校や地域コミュニティが持つ力にも注目して理解しようとする研究に取り組んでいます。 修士課程1年生ということで,研究成果がまとまるのは来年のことになりますが,先日行われた報告会では,今年度,プログラムの助成を受けて進めた調査の成果を報告しました。 個人的には佐々木さんの研究を見ながら『 銀の匙 silver spoon 』という漫画が思い浮かびます。