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【学会発表】LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援に関するコンピテンシー

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 週末に開催された日本心理臨床学会で『LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援に関するコンピテンシー」というテーマの研究報告を行いました。 この研究は以前,このブログでも紹介したLIEM(低所得と経済的排除)を背景に持つクライエントさんへの心理支援に関して,公認心理師や臨床心理士を対象とした調査を行い,その結果を報告するものでした。 貧困をテーマにした研究は心理関係の学会ではあまり見かけないものですが,在籍時間中は熱心にお話を聴いてくださる方が来てくださって,ありがたかったです。 結果の概要としては ・心理支援者の多くは程度の差はあってもLIEMを背景に持つクライエントへの心理支援を経験している。 ・にもかかわらず,LIEMの問題やそうした問題を背景に持つクライエントへの心理支援について十分に学んだ経験がある人は多くない。特に,大学・大学院などの養成課程で学んだ経験がある人はわずかであり,6人に1人が貧困ライン以下での生活を余儀なくされているという日本の現状にもかかわらず,LIEMへの心理支援は心理支援者養成において”一般的”な問題として位置づけられていない。(←このことは心理支援においてLIEMを背景に持つ人たちが排除されていることを象徴している) ・そうしたことから,調査に協力してくれた方たちの多くは学ぶ必要性を感じているが,LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援に関するコンピテンシー(専門性,能力)に目を向けると,必要性を感じていながらも実行できないと評価する傾向が強く,その傾向は環境や制度への働きかけのように,よりマクロレベルのコンピテンシーで強くなる傾向にあった。 という感じです。 こうしたことから, ・まずは心理支援者の養成課程においてLIEMの問題に触れ,LIEMを背景に持つ人々が心理支援のニーズを持つ人たちであることを認識してもらうこと ・さらに彼らへの支援を提供するためには彼らのニーズを理解し,時には現実的な支援を含めた支援を行うこと,あるいはそうした支援を行える他の専門職との連携が不可欠であることを認識してもらうこと ・そして,こうした社会的な問題に対する心理支援を展開していくためには同じような問題意識を持つ心理支援者が組織し,クライエントに必要な制度やシステムについての提言を行う仕組みを作っていくこと が必要だと考察しました。...

【学会発表】「ヤングケアラー調査を踏まえた公立通信制高等学校の現状と課題」

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 早稲田大学で開催された日本子ども家庭福祉学会第25回全国大会で「ヤングケアラー調査を踏まえた公立通信制高等学校の現状と課題」という研究報告を行いました。 この研究は日本医療大学の今西良輔先生との共同研究で,今回は今西先生が発表してくださいました。北海道の道立通信制高校での調査を通して見えてきた生徒の実態を「ヤングケアラー」という視点から見てみた研究です。 こども家庭福祉学会は初めての参加でした。 特徴的だったのは高校生・大学生の研究報告という枠があり,大会2日目には朝から夕方までその企画が動いていたことが印象的でした。時間の都合上,見に行くことはできませんでしたが,研究報告があったり,参加者同士で交流したりしていたようです。 あとは学会の報告に社会的養護経験者が登壇し,声を届けてくれていたことも印象的でした。 自分がかかわる他の学会の在り方としても参考にしたいなと思いました。

【論文】「スクールカウンセラーにおける倫理」

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 日本健康相談活動学会誌に「スクールカウンセラーにおける倫理」という論文が掲載されました。この論文は特別報告『教育現場における倫理的課題』という特集の1部として掲載されたものです。 スクールカウンセラーの職務の特徴や心理支援者の倫理を巡る変遷などを踏まえて,スクールカウンセラーにとっての倫理をどのように捉える必要があるかを論じました。特に,倫理を専門家としての最低限の基準(命令倫理)と捉えるだけではなく,専門家として目指すべき最高の 行動基準(理想追及倫理)と捉え,より良い心理支援を探求する必要性に言及しました。 この論文はJ-STAGEで公開されており,以下のリンクからお読みいただけます。 井出智博(2024) スクールカウンセラーにおける倫理, 日本健康相談活動学会誌 19 (1), 2-5.

【論文】「北海道における社会的養護経験者の アフターケアの在り方を考えるワークショップ 」に関する実践報告

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2年ほど前に道内の社会的養護経験者のリービングケア,アフターケアに関わる方たちのメーリングリストを作り,不定期に勉強会などを開催してきました。今年度からは2,3か月に1度のペースで定期的に勉強会を開催する予定です。 今回ご紹介する『北海道における社会的養護経験者の アフターケアの在り方を考えるワークショップ 』はそうした勉強会の一環として開催した「社会的養護経験者のアフターケアの在り方を考える@札幌」というワークショップの実践報告です。北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター子ども臨床研究部門の実践研究の一環でもあります。 このワークショップには札幌を中心に,道内でリービングケア,アフターケアに関わる方たちがご参加くださり,「北海道・札幌で社会的養護経験者が暮らしていくために何が必要か?」というテーマに基づいてグループワークを行いました。本報告にはその内容が紹介されています。 近いうちに大学のリポジトリにも公開されると思いますので,その際は本文リンクと合わせて再度ご報告いたします。 【追記】2024.7.2 北大学術成果コレクション(HUSCUP)にて本文が公開されました。 コチラ からアクセスしてください。

【研究室の活動】ゼミの風景(おしゃれアピール)

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 先日のブログにも書きましたが,今年度の 学部ゼミは地域で居場所を運営している機関とタイアップして,その居場所機能を様々な角度から評価,探求,考察するフィールドワークに取り組んでいます。フィールドワークを通して学んだこと,考えたことと,自分たちの問題意識,先行研究や公開されているデータなどをもとに,探求するテーマやその方法についてのディスカッションを重ねています。 研究室の近くに「 エンレイソウ 」という地域連携活動のための施設があります。 たまには気分を変えて… ということで今週はエンレイソウを使って開催しました。 いつもよりも新しくておしゃれな空間なので,「やっている感」があります(実際にずいぶんはかどったように思います)。 窓の外には構内にある大野池という蓮池が眺められます。時期になるとカルガモのお母さんが子どもたちを引き連れて歩く姿も見られます。 私大にはおしゃれなところが多いけれど,北大にも少しはおしゃれ空間があります,というアピールでした。

【研究室の活動】今年度の福祉臨床心理学研究室

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  新年度が始まって2か月が経とうとしています。 北海道も緑の季節を迎えて,ようやく授業やゼミのペースもつかめてきたところです。 今年度の福祉臨床心理学研究室の所属学生・院生は 学部3年生 4名 学部4年生 2名 修士1年生 3名 修士2年生 2名 博士1年生 1名 の計12名です。 学部生は3年生の後期に本ゼミといって卒論を書くゼミの所属を決めますので,3年生の人数は後期に変更があるでしょう。 ゼミは学部のゼミとリサーチ研といって卒論・修論・博論のための研究についてディスカッションするゼミの2つの時間を設けています。 学部ゼミは地域で居場所を運営している機関とタイアップして,その居場所機能を様々な角度から評価,探求,考察するフィールドワークに取り組みます。関連する先行研究を調べたり,実際に居場所に足を運んで見学したり,参加させてもらったり,スタッフや地域の人の話を聞かせてもらったり,学生・院生でディスカッションをしたり...ということを通して,研究の進め方,テーマの探求の仕方を学びます。 このように複数のゼミを運営したり,地域連携プロジェクトを進めたりするために,今年度からゼミの運営にslackを導入することにしました。slackには教育支援プログラムというものがあり,有料プランが85%offと,とてもお得に導入できます。今のところ,とても使いやすくて重宝しています。 またリサーチ研の方はそれぞれの研究テーマを深める時間ですが,これまでコロナもあってあまり積極的にできなかった「学会で発表しよう!」をひとつのテーマにして取り組みます。北大には院生が学会発表することを経済先に助成してくれる制度もあるので,そうしたものも活用しながら学会発表に取り組んでもらいたいと思っています。 その他,今年度研究室では科研をはじめいくつかのプロジェクトに取り組みます。 【科研;代表】 ■ 社会的養護に内在する喪失とそれに伴う悲嘆に対する包括的理解とケアの構築(基盤研究B) ■ 貧困下にある子どもに有効な支援を提供する心理支援者育成プログラムの開発(学術変革領域研究(A) 公募研究) 【科研;分担】 ■ 希望ある里親養育に向けた「未来語りの対話」ケアプログラムの開発(基盤研究C;八木孝憲) ■ 社会的養育におけるドリフト現象の実態把握とケア指標作成に...

【報告書】「LIEMを背景に持つクライエントへの心理支援の現状と課題について」報告書

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*LIEM:Low-Income and Economic Marginalization(低所得と経済的疎外) 今年度と来年度(2023~2024年度),科研費の助成を受けて「 貧困下にある子どもに有効な支援を提供する心理支援者育成プログラムの開発 」という研究課題に取り組んでいます。 この研究課題は東京都立大学の阿部彩先生が研究代表を務める学術変革領域研究(A)「 貧困学の確立:分断を超えて 」の 公募研究 (貧困の子どもへの影響を緩和する社会システムの実装に関する研究)として採択されたものです。 「2019年国民生活調査の概況」(政策統括官付参事官付世帯統計室,2020)によると2018年の日本の相対的貧困率は15.7%であり,国民の6人に1名程度(約2,000万人)が貧困ライン以下での生活を余儀なくされている状況にありながら,これまで日本の臨床心理学の領域では貧困の状況にある人々への心理支援のあり方についての議論はほとんどと言ってよいほど行われてきませんでした。 貧困は社会的排除に関する問題です。発達障害の可能性がある子どもの割合が6~7%とされており,この割合をそのまま日本の人口に換算すると800~900万人ほどになりますが,発達障害の人たちへの支援に関しては多くの研究や実践が重ねられてきたことを考えると,貧困は臨床心理学という学問においても排除され,「ない」ことにされてきたと言えるでしょう。 海外では例えばアメリカ心理学会が『 The APA Guidelines for Psychological Practice for People with Low-Income and Economic Marginalization 』というガイドラインを公表しているように,多文化・社会正義カウンセリングの文脈を中心に貧困を背景に持つクライエントへの心理支援についての議論が重ねられています。 日本でも貧困が人の育ちや暮らし,メンタルヘルス等に与える影響を理解し,必要な支援を提供するための議論が必要です。 そこで本研究ではまず今年度,公認心理師や臨床心理士がどれくらい,どこで貧困を背景に持つクライエントへの心理支援を経験しているのか,そしてその中でどのような困難を感じているのか,どのような能力(コンピテンシー)が必要だと考えているのかなど,貧困を背景に持つクライ...